切ない心情が繊細な言葉で書かれた物語 - 乳房 (講談社文庫)伊集院 静
切ない心情が繊細な言葉で書かれた物語が読みたくなって探した。
いろんな検索キーワードを駆使して辿りついたのがこれだった。
(どの記事に載っていたか、どんな風に紹介されていたかは忘れてしまった)
短編5編を収録。
表題作の『乳房』は、気付けば物語に入り込んで、あっという間に読み終えていた。
とても感動的であった。
夫が妻を思い、妻が夫を思い、何を言葉にして、何を伝えようとするのか。
期待していたとおりの繊細な物語だった。
伊集院静の元妻であった夏目雅子がモデルではないかとも言われているらしく、そう思って読んでみるとまた趣がある。
表題作の『乳房』しか読んでいないが、十分満足した。
切ない心情が繊細な言葉で書かれた物語が読みたくなったらぜひ手にとってみてほしい。
妻と病室の窓から眺めた満月、行方不明の弟を探しに漕ぎ出た海で見た無数のくらげ、高校生に成長した娘と再会して観た学生野球……せつなく心に残る光景と時間が清冽な文章で刻み込まれた小説集。表題作の他「くらげ」「残塁」「桃の宵橋」「クレープ」と名篇を収録し、話題を呼んだ直木賞作家の、魂の記念碑。
論理的に考える力を引き出す―親子でできるコミュニケーション・スキルのトレーニング(一声社)三森 ゆりか
皆さん、こんな経験はありませんか?
◆何となく会話が噛み合わないまま仕事を進めた結果、トラブルになった
◆会議で議論しても、論点がよくわからず、アバウトな話で終わる
◆部下に説教してもイマイチ響かない
◆英語が話せない
上の4つの項目は、一見、何の関連もないように思えますが、
実はすべて日本人特有の「コミュニケーション下手」に起因するものです。
この本は、物事を論理的に考え、それを的確に表現するスキルを磨くことで上記のような「コミュニケーション下手」を解消しようというのが主旨です。
サブタイトルに「親子でできるコミュニケーション・スキルのトレーニング」とあるように、本来は子育てをする親のために書かれた本ですが、むしろ大人にこそ必要なトレーニングだと思われます。
日本人のコミュニケーションでよく見られる問題点について、本の中では主に以下のような項目を挙げています。
●主語が曖昧なまま話をする
●「Yes/No」「賛成/反対」を明確にしないまま話が進む
●曖昧な質問をしてしまい、結果的に噛み合わない答えが返ってくる
●「あれ」「それ」「みんな」「とか」など、曖昧な指示語が多い
これらは、日本の文化から生まれた日本語の構造にも原因があるので一概に「悪い」というわけではないのですが、ビジネスの現場では支障をきたすこともよくあります。
では普段の会話で、具体的にどのようなことを心がければよいのでしょうか。
詳細は本に書かれているので、簡潔に挙げると…
●多少くどくなっても「主語(誰が・何が)」と「目的語(誰に・誰を・何に・何を)」は意識して言う
●最初に立場を明確に伝えてから理由を述べる→「私は反対です。なぜなら~~~~」
●質問をするときは、「5W1H」の中のどれを聞きたいのかを明確に
●相手の話を聞くときは、「事実」の部分と「意見」の部分をしっかり聞き分ける
最後に、相手に自分の意見を伝えたいときに便利な「ナンバーリング」という技をご紹介しておきます。
(詳細は本著156ページ参照)
これは、意見を言う前に「これから、どのようなことを、何個話すのか」を伝えるというものです。
ナンバーリングをすることによって、聞く側は頭の整理ができ、自分の意見を理解してもらいやすい、というメリットがあります。
「今後、注意してほしいことが2つあります。~~~~」
「良い話が1つ、悪い話が2つあるんだけど、~~~~」
「私は反対です。理由は3つあって~~~~」
ぜひ、普段の会話に取り入れてみてください。
論理的に考える力を引き出す―親子でできるコミュニケーション・スキルのトレーニング
- 作者: 三森ゆりか
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日経新聞と日経流通新聞(日経MJ)
新聞は知識とアイデアの宝庫。
というわけで、現在購読している2つの新聞をご紹介します。
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いわずと知れた、日本を代表する経済紙です。当然ですが、他の新聞に比べて、経済、産業、企業活動などに関する記事が大きなウェイトを占めています。
一般の全国紙と同じく、1面から総合→政治→経済→国際という感じで構成されているのですが、日経新聞を読むなら、ぜひ「企業」という欄に目を通すことをオススメします。
大企業から中小企業まで、さまざまな企業の最新の取り組みが紹介されていて、お客さんとの会話にも役立ちます。
日経の記事の中でも、マーケティングに特化した情報を集めた新聞で、月・水・金の週3回発行されています(MJは「マーケティング・ジャーナル」の略です)。ジャンルを問わず、最新の消費動向や流行、企業の取り組み、注目アイテムなどの情報が網羅されているので、広告や販促に携わる人はけっこう読んでいます。
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というわけで、せっかくの機会なので、皆さんぜひ新聞を読んでください。
最後に、個人的に感じている「新聞を読むメリット」を2つご紹介しておきます。
●文章力が身に付く
新聞は、政治や経済などの複雑な話を何百万人という人たちに理解させるメディアですので、やはりその文章は完成されたものがあります。(思想・信条はともかく…)
文章で物事を正確に伝える、というのは意外と難しいことなので、接続詞や句読点の使い方、文章のリズムなど、ぜひ新聞記事の表現を参考にしてみてください。
●広告のクリエイティブが一流
大手企業や高級ブランドが何百万、何千万という予算を使って掲載する新聞の広告は、当然クリエイティブにもお金をかけています。一流のクリエーターが作った広告のデザインやコピーは参考になりますね。
小宮一慶の 1分で読む!「日経新聞」最大活用術 2015年版
- 作者: 小宮一慶
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
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すぐ「ブラック企業」とか呼ぶけど - 督促OL 修行日記 (文春文庫)榎本 まみ
ちょっと前に話題になったのでご存知の方もいると思いますが、クレジットカードなどの督促を請け負っている会社に新卒で入社した著者が、もがき苦しみながらも一人前になっていく様子を紹介している本です。
カバー裏には、こんな紹介文が書かれています。
朝から晩まで、怒鳴られ、脅され、謝る毎日。
洗濯の時間もなくて紙パンツ生活。
入社半年で10キロ減……。こんなストレスフルな仕事でも、
ちょっとしたコツで、出口は見つかったのです。
最近は仕事がキツイと、すぐ「ブラック企業」とか呼ぶ風潮がありますが、どんな仕事も最初は理不尽に感じるものです。
この本の舞台は督促を請負う会社ですが、顧客からはムチャを言われ、会社からは数字を詰められ…という構図はどんな業界でも同じですね。
社会に出たばっかりの人なら誰でもそんな状況を理不尽だと感じるもので、つい「先が見えない」とか言ってしまうんですね。
そんな状況に陥ってしまったら、ぜひこの本を読むことをおすすめします。
また、この著者が担当した業務は、カード代金滞納者に電話で督促する仕事だったのですが、そこで身につけたトークの技が随所で紹介されています。
代金を滞納する人たちが相手なので、逆ギレされることも当たり前。
そんな人たちの心を動かす会話術は、クレーム対応なんかのときにとても役立つと思います。
仕事のふとした時に役立つ言葉 - 電通「鬼十則」 (PHP文庫)植田 正也
電通『鬼十則』。
電通の4代目社長、吉田秀雄という人が作った「仕事の哲学」とでもいうもので、広告業界に限らず様々な業界の人にバイブルとして読まれてきたものです。
その十則に対して、著者である大学教授が長々と解説を加える形で本は書かれているのですが、はっきり言ってその解説はあまり役に立ちません…
実際、Amazonのレビューでもかなり酷評されており、そっちを読んでいる方が面白いです。
というわけで、その「鬼十則」をそのまま紹介します。
(1)仕事は自ら創るべきで、与えられるべきではない。
(2)仕事とは先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
(3)大きな仕事と取組め! 小さな仕事は己を小さくする。
(4)難しい仕事を狙え! そしてそれを成し遂げるところに進歩がある。
(5)取り組んだら放すな! 殺されても放すな! 目的を完遂するまでは。
(6)周囲を引きずり回せ! 引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地の開きができる。
(7)計画を持て! 長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
(8)自信を持て! 自信が無いから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらがない。
(9)頭は常に全回転! 八方に気を配って、一部の隙もあってはならぬ!サービスとはそのようなものだ。
(10)摩擦を怖れるな! 摩擦は進歩の母、積極の肥料だ。でないと君は卑屈未練になる。
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いかがでしょうか。
「深い!」
「古くせぇ」
「文字ばっかり…」
など、受け取り方は様々でしょうが、ふとした時にこのような言葉が役に立ったりするものです。
ついでに紹介しておくと、「山善」という商社の創業者が残した仕事訓・人生訓も同様に厳しい言葉が並んでいて、色々と示唆に富んでいます。
創業者 山本猛夫 | 山善ミュージアム この国にモーレツをもう一度
モノやサービスの値段がどのような原理で上がり下がりするのか、を知る - 「値段」でわかる日本経済 (日経ビジネス人文庫)日本経済新聞社
「値段でわかる日本経済」という本をご紹介します。
日本経済新聞社の中で、様々なモノの値段を調査している部署が中心となって執筆したものです。
タイトルの通り、値段の動きから日本や世界の経済的な背景を読み解こうとする内容で、食料品から電気製品、通信サービス、人材派遣…などなど幅広い業界を取り上げています。
発売されたのは約14年前の2001年11月なので、そこから状況はかなり変化していますが、モノやサービスの値段がどのような原理で上がり下がりするのか、を知るには便利な一冊だと思います。
ということで、本の紹介はこの辺で置いといて…
「日本グラフィックデザイナー協会」という団体のホームページに
「デザイン料金表」なるものがあるのですが、これがなかなか面白いです。
最後に更新されたのが1994年なので、もう20年以上も前のものなのですが、
新聞広告、雑誌広告、会社案内、カタログ、店頭ツール、CI、パッケージ…とかなりジャンルを細かく分けて制作の参考料金を提示しています。
例えば…
●A4の雑誌広告だと、アートディレクション、デザイン、コピー、カンプ、フィニッシュ…ともろもろ積み重ねて975,000円
●A4×16Pの会社案内だと、同様にもろもろ積み重ねて1,978,000円
などなど。
ちなみに、この制作料金表の意義について、当協会はこう語っています。
この算定基準は、決して制作者のためだけのものではありません。
発注担当者、仲介者など、デザイン料の「時価」システムに悩まされてきたすべての人たちのものです。この算定基準は、デザイン料の無政府状態に終止符を打って、デザイン制作における公正な競争を回復し、促進するものとなるばずなのです。
「無政府状態」という言葉が適切かどうかは分かりませんが、考えさせられるコメントですね。
パワポの使い方を1見開きで解説 - 他人に聞けない「パワーポイント」超★活用法 (中経の文庫)国本温子
『他人に聞けない パワーポイント超・活用術』をご紹介します。
タイトルの通り、パワーポイントの使い方をレクチャーしている本です。
2008年に出た本なので、扱っているバージョンがパワポ2007なんですが、2010とかへの汎用も効く内容だと思います。
大まかに本の構成を説明すると…
●第1章…手軽にできる!スライド作成の技
●第2章…自由に操る!文字入力の技
●第3章…かっこよく、わかりやすい!デザインの技
●第4章…イメージがふくらむ!図形作成の技
●第5章…見やすいデータで納得!表・グラフ作成の技
●第6章…印象に残る発表に!プレゼンテーションの技
●第7章…資料にも気配りを!印刷の技
それぞれの章の中に「特定のスライドだけデザインを変更するには?」みたいな項目がたくさんぶら下がっているのですが、ひとつの項目が1見開きで完結されていて、とても読みやすい本です。巻末に便利なショートカットをまとめた表もあります。
プレゼン用の資料作成でパワーポイントを使う機会も多いと思いますので、ぜひ活用してください。