読んだ本について僕の語ること

読んだ本について僕の語る書評ブログです。読書を通じて勉強になったこと、腑に落ちたこと、思い出したこと、エピソード、連想されるもの、感想を書いています。

500円から始まる芸人のストーリー - メリーランド(講談社)畑野 智美

畑野智美が描く、「南部芸能事務所」シリーズの第2弾であるこの「メリーランド」。
この作品から読んでも問題なく楽しめますが、出来れば1弾から読むことをお勧めします。

南部芸能事務所に所属する芸人が、己の未来に試行錯誤しながら歩んでいく、というストーリー。個性豊かな登場人物に視点をあてた短編集で非常に読みやすく、あっという間に読破してしまうことでしょう。

最初のストーリーは500円の使い道。
コンビとして舞台に立った初めてのギャラ、1000円。
それを二人で分けた、大切な500円を何に使うのか。
この切り口から胸がわくわくし、畑野ワールドに惹き込まれていくのです。

芸人の世界で生きていくと決めた若者たちの葛藤と成長を、いつの間にか応援している自分。
そして、人を笑わせるという職業を選んだ芸人たちの心の中を知ることで、これまでとは違った見方でテレビを見るようになりました。

芸能界の裏側をかいま見ることが出来るだけでなく、笑いあり、恋あり、ライバルありと、ずっしり内容が凝縮されていますので、読後感が良く、非常に満足感を得られる作品になっています。

主人公たちのその後が気になりますので、次の第3弾を期待して待ちたいと思います。

 

メリーランド

メリーランド