読んだ本について僕の語ること

読んだ本について僕の語る書評ブログです。読書を通じて勉強になったこと、腑に落ちたこと、思い出したこと、エピソード、連想されるもの、感想を書いています。

文庫

切ない心情が繊細な言葉で書かれた物語 - 乳房 (講談社文庫)伊集院 静

『乳房』伊集院静108円(中古・ブックオフ)。 切ない心情が繊細な言葉で書かれた物語が読みたくなって探した。いろんな検索キーワードを駆使して辿りついたのがこれだった。(どの記事に載っていたか、どんな風に紹介されていたかは忘れてしまった) 短編5…

すぐ「ブラック企業」とか呼ぶけど - 督促OL 修行日記 (文春文庫)榎本 まみ

ちょっと前に話題になったのでご存知の方もいると思いますが、クレジットカードなどの督促を請け負っている会社に新卒で入社した著者が、もがき苦しみながらも一人前になっていく様子を紹介している本です。 カバー裏には、こんな紹介文が書かれています。 …

仕事のふとした時に役立つ言葉 - 電通「鬼十則」 (PHP文庫)植田 正也

電通『鬼十則』。電通の4代目社長、吉田秀雄という人が作った「仕事の哲学」とでもいうもので、広告業界に限らず様々な業界の人にバイブルとして読まれてきたものです。 その十則に対して、著者である大学教授が長々と解説を加える形で本は書かれているので…

モノやサービスの値段がどのような原理で上がり下がりするのか、を知る - 「値段」でわかる日本経済 (日経ビジネス人文庫)日本経済新聞社

「値段でわかる日本経済」という本をご紹介します。日本経済新聞社の中で、様々なモノの値段を調査している部署が中心となって執筆したものです。 タイトルの通り、値段の動きから日本や世界の経済的な背景を読み解こうとする内容で、食料品から電気製品、通…

パワポの使い方を1見開きで解説 - 他人に聞けない「パワーポイント」超★活用法 (中経の文庫)国本温子

『他人に聞けない パワーポイント超・活用術』をご紹介します。タイトルの通り、パワーポイントの使い方をレクチャーしている本です。2008年に出た本なので、扱っているバージョンがパワポ2007なんですが、2010とかへの汎用も効く内容だと思います。 大まか…

素朴な疑問に読売新聞が答える - 雑学新聞―身のまわりの疑問を徹底取材! (PHP文庫)読売新聞大阪編集局

これは読売新聞大阪本社の執筆によるもので、普段何げなく抱いている素朴な疑問に読売新聞が答える、というもの。 もともと読売新聞の夕刊に、読者から寄せられた様々な日常の疑問に答える「もの知り百科」という連載コーナーがあったのですが、その記事を1…

絶対買おう - 俺はその夜多くのことを学んだ (幻冬舎文庫)三谷 幸喜

いつか買いたいなと思って、本屋に寄るたびに探していた。Amazonで買えばいいんだけど、一度ぱらっと立ち読みぐらいしてから買いたい。なかなか置いている本屋はないだろうと踏んでいたけど、本当になかなかない。京阪モールの紀伊国屋書店で見つけたときは…

スタンプが景品に変わるまで - 本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)穂村 弘

水泳、バスケ、空手、ラグビー、ダンス思い返せば、小学校入学から大学を卒業するまで、途切れること無く何かしらの運動をしていた。そのおかげで、学生時代はたいへん引き締まった体をしていた。大学を卒業してから全く運動をしなくなったが、しばらくは宴…

一流に触れる - 達人に訊け! (新潮文庫)ビートたけし

僕は普段、社内のパソコンの前に座って作業をしている。デスクワーク。人と話したりする機会は少ない。 だからこんな風に、“すごい人”の考え方を、本ででも得られるのはとても貴重なことのように思う。 ビートたけしとその道のプロ。活躍の場は違えど、一流…

初体験 - 伊豆の踊子 (新潮文庫)川端 康成

中学の時に、読書感想文の題材として読んだ。内容は覚えていないけど、全部読めて嬉しかった、ということだけ記憶に残っている。 これが読みやすかったのか、その時の自分のモチベーションが高かったのか。それまでも何度か読書感想文の宿題が出て、その度に…

せっかくのタイミング - 国境の南、太陽の西 (講談社文庫)村上 春樹

「国境の南、太陽の西」を立ち読みした。 今まで村上春樹の作品をいくつも読んだが、ほとんど途中でやめてしまっている。最後まで読めた作品でも、面白かったものはひとつもない。なのに、何度も違う作品を買っては読もうとする。何故、彼がそんなに人気があ…

読後の爽快感がやみつきに。 - ルーズヴェルト・ゲーム (講談社文庫)池井戸 潤

2014年春にTBSでドラマ化された「ルーズヴェルト・ゲーム」。 弱小の社会人野球チームを舞台とした、男たちの汗と涙の熱いストーリーです。 作者は池井戸潤氏。 彼の名前が広く世に知られるようになったのは「半沢直樹」でしょう。この「半沢直樹」シリーズ…

映画化決定!繊細な青春ラブストーリー - ホットロード 1 (集英社文庫―コミック版)紡木 たく

80年代に大ヒットした少女漫画「ホットロード」。 あまちゃんの主人公で大ブレイクした能年玲奈が主演だというので、原作を読んでみることにしました。 物語は万引きのシーンから始まります。かなりパンチの効いたストーリーだということがここで伝わり、身…

朝ドラ『花子とアン』をより楽しむための原案本 - アンのゆりかご―村岡花子の生涯 (新潮文庫)村岡 恵理

朝の連続テレビ小説『花子とアン』が大好きなので、原案となった本が読みたくなり購入しました。 この本には『赤毛のアン』の翻訳者である村岡花子の生涯が、孫である村岡恵理さんによって丁寧に描かれています。 貧しい農村で生まれ育った花子が、その類ま…

おっさんも3匹寄れば… - 三匹のおっさん (文春文庫)有川 浩

今年、2014年の1月からドラマ化された事でも有名な三匹のおっさんは、アラ還というおっさんのなかでもおっさんな世代が巻き起こす痛快な事件の数々を記した小説である。 「ジジイと呼ぶな、おっさんと呼べ」と語る三人は、定年を迎え、自らの場所を探すべく…

プライドのしのぎ合い - 震度0 (朝日文庫 よ 15-1)横山 秀夫

阪神大震災の前日のN県警警務課長失踪に端を発する、警察庁キャリアと地元ノンキャリアとの意地の張り合いが、ストーリーの緊張感を生む。お互いに踏み込まれたくない領分がある。出世のために、地方警察勤務時代の失点を防ぎたい警察庁キャリアと、現場の捜…

自分で選ぶ - 本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)穂村 弘

2013年、ピースの又吉直樹にはまった。YOUTUBEで又吉が出演している動画を探し、ウェブコラム「確かにお前は大器晩成やけど!! - キネマ旬報社」も其ノ一まで遡って読んだ。 きっかけは又吉直樹著「第2図書係補佐」だ。大の読書好きである又吉が、今まで読…

まんざら - 四十一番の少年 (文春文庫)井上 ひさし

10歳のとき、両親が離婚した。 それからすぐに僕と母親は不動産屋を回り、家を探しはじめた。ある不動産屋が、しつこく母親を食事に誘った。僕は、すごく嫌だった。なんとなく母親がまんざらでもなさそうな感じを出しているのも嫌だった。「ぜったい行かんと…

義理 - すべては一杯のコーヒーから (新潮文庫)松田 公太

僕がコーヒー好きというのを知ってか知らずか、友人だったか親戚だったかが、おすすめしてくれたかプレゼントしてくれた本。 あんまり面白くなかったので読むのをすぐにやめたけど、それからはタリーズでコーヒー豆を買うようしています。 すべては一杯のコ…

シブがらず - 一握の砂・悲しき玩具―石川啄木歌集 (新潮文庫)石川 啄木

ある時、石川啄木でも読んでみようか、という気が起こった。「短歌の世界がわかるって何かシブい」と思ったのだ。 さっそく本屋で立ち読みをした。ぜんぜん面白くないと思ったので、やっぱりやめた。 それから数年たち、いま石川啄木を読んでいる。これがむ…

ブック・オブ・ジ・イヤー2009 - 邂逅の森 (文春文庫)熊谷 達也

年間400冊読む、という人から紹介いただいた。2009年の年末のことだ。その年に読んだ本で、一番良かった、とのこと。 早速、本屋に行き、立ち読みをした。少し難しそうに感じた。僕に読めるだろうか、と思った。せっかく紹介してもらったのだし、読めなかっ…

漱石批判 - 文鳥・夢十夜 (新潮文庫)夏目 漱石

文鳥 “飼っている文鳥に餌をやらずに死なせてしまうが、家の人のせいにする話” というあらすじを聞いて、これは面白そうだ、と読んだ。 ところが、面白くなかった。 なんじゃそりゃ!しょーもな! と思った。 夢十夜 “これだけは読んどけ”みたいな小説として…

プールで泳ぎたい - イン・ザ・プール (文春文庫)奥田 英朗

「イン・ザ・プール」を読んだ。 めちゃくちゃ面白かったので「イン・ザ・プール」を読んでいる途中で、続編の「空中ブランコ」を買った。 「イン・ザ・プール」を読み終えるやいなや、「空中ブランコ」を一気に読んだ。「空中ブランコ」もとても面白かった…

沖田派 - 燃えよ剣(新潮社)司馬 遼太郎

好きな歴史上の人物は誰か 入社間もない頃、同期3人で社長室へ。 「これから頑張りたまえ」社長からの激励の後、「好きな歴史上の人物は誰か?」という話題に。 まず僕が「千利休です」、同期二人が「織田信長です」「坂本龍馬です」と答えた。 社長は「土方…

淡々とドライすぎず甘すぎず深くやさしく幸福な詩 - プーさんの鼻 (文春文庫) 俵 万智

半分くらい読んだ。 最後まで読んだら、もう一度読み返そうと思っている。 俵万智といえばサラダ記念日だが、それよりも甘ったるくなくて、良い。 淡々と読まれた詩は、深く静かで優しく、幸福感が伝わる。 生まれてくる息子に詠んだもの、結婚する弟に詠ん…

めちゃくちゃ変なやつだけど - 二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫) 古川 日出男

リズム感いっぱいの歯切れの良い文章でぐいぐいと物語に引き込まれた。 登場するすべての人はクセが強く個性的。めちゃくちゃ変なやつだけど、どこか憎めなくて魅力的にさえ思う。 特に包丁を振り回す女子高生料理人は、実際にいたら恋をしてしまいそうだ。 …

さくらももこならでは - さるのこしかけ(集英社文庫) さくら ももこ

ベートーベン「運命」のメロディとともに肛門を襲った強烈な痔を完治させた、驚きのドクダミ療法。台風直撃、さらに食中毒にも直撃された台湾旅行。そして、「ノー・プロブレム」な国民性に振り回された、初めてのインド…。日本中をわかせた、あの爆笑エッセ…