シブがらず - 一握の砂・悲しき玩具―石川啄木歌集 (新潮文庫)石川 啄木
ある時、石川啄木でも読んでみようか、という気が起こった。
「短歌の世界がわかるって何かシブい」と思ったのだ。
さっそく本屋で立ち読みをした。ぜんぜん面白くないと思ったので、やっぱりやめた。
それから数年たち、いま石川啄木を読んでいる。
これがむちゃくちゃ面白い。
ぜんぜん面白くないと思った時、読むのをやめてよかった。
あの時、無理して石川啄木を読んで、シブがることもできただろう。
しかし、それを自分に正直にいたことで、面白いと思えるときに、面白がりながら読めている。
あのとき、読んでいたら、この面白さは感じられなかっただろうと思う。
眼閉づれど、心にうかぶ何もなし。さびしくも、また、眼をあけるかな。
新しき明日の来るを信ずといふ自分の言葉に嘘はなけれど-
かなしきは、(われもしかりき)叱れども、打てども泣かぬ児の心なる。