毎日が一つ一つの積み重ね - ゼロ―――なにもない自分に小さなイチを足していく(ダイヤモンド社)堀江 貴文
2014年上半期、トーハンビジネス書部門売上2位に選ばれたこの作品は、世間で思われている堀江氏……つまりホリエモンのイメージをがらりと変えた小説となっている。
メディアに映る彼は慇懃無礼であり、苦労知らずで上手に世の中を渡ってきたようなイメージだろう。
しかし、実際はそうではない。
その生い立ちから女性への想いまで、すべてが赤裸々に書かれたのがこのゼロである。
逮捕という形で一度丸裸にされた自分をさらけ出すように綴られた真摯な言葉は、堀江氏も普通のどこにでもいる人間であることを教えてくれる。
例えば彼が東大中退であることは有名だが、けっして恵まれた家庭で育った訳ではなく、九州の小さな町で育った堀江氏が上京する為には学費が安く、かつ知名度の高い東大を選ぶしかなかったことなど、その背景は明るくはない。
逆境は多かった。
その中で彼はどうして働くことを選んだのか。
理由はお金の為じゃなく、自分の存在を確かめる為。
そして自分らしくある為。
堀江氏にあまり良い印象を持っていない人にこそこの本は読んでもらいたい。
実際の彼は照れ屋で、人間臭くて、不器用で……とにかくまっすぐな人なのだ。
なんだ、自分と変わらない。
それなら自分のペースで着実に、ゼロにイチを足していこう。
日頃の忙しさからいい意味で力を抜いてくれる作品だ。