読んだ本について僕の語ること

読んだ本について僕の語る書評ブログです。読書を通じて勉強になったこと、腑に落ちたこと、思い出したこと、エピソード、連想されるもの、感想を書いています。

店はお客様のためにある - ユナイテッドアローズ 心に響くサービス(日経ビジネス人文庫)丸木 伊参

ユナイテッドアローズ 心に響くサービス(日経ビジネス人文庫) (日経ビジネス人文庫 ブルー ま 8-1)

ユナイテッドアローズ(以下UA)は、1989年にビームスの幹部たちが独立して創業。
ハイクオリティなセレクトショップとして急成長を遂げ、創業から10年で25億円の経常利益を生み出す企業になりました。
その後も成長を続け、2013年3月期の連結決算では経常利益125億円、当期純利益は過去最高の73億円をたたき出しています。

この本は、そんなUAの「接客サービス」に焦点を当てた本です。
アパレルの会社についての本なのですが、服の話はほとんど出てきません。
出てくるのは、UAのショップ店員がいかに心のこもった接客をするか、また接客サービスの質を上げるために、UAがどのような社員教育をしているか、という話ばかりなのです。

そんなにUAの接客は特徴的なのでしょうか。
まずは、本の中で紹介されている、顧客を感動させたエピソードをいくつか。紹介します。
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●雨の日に来店した客が試着をしている間に、店員が客の靴をピカピカに磨き上げていた。客はそれに感動し、以後その店のファンになった。

●結婚式を控えたカップルが、パーティ用の服を買いに来店。
後日、“お直し”を取りに再来店した際、商品にお祝いの手紙を添えた。
パーティ当日、カップルは礼を言うために、わざわざ店に立ち寄った。

●ある女性客が服を購入。その客は次の用事で急いでいる様子だったので、店員がひとこと。
 「お客様、お買い上げの商品をご自宅までお送りいたしましょうか?」後日、女性からは礼状が届いた。
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UAには、このようなサービス逸話が数えきれないほどあり、顧客からの感謝の手紙が絶えないそうです。

このようなサービス行為は決してマニュアルからは生まれず、一人ひとりのスタッフがその場の判断で実践できて初めて生まれるものです。

そのため、UAは「店はお客様のためにある」という社是を掲げ、その理念を全スタッフに浸透させるための教育に莫大なエネルギーを注いでいます。

本の中では、その具体的な取り組みについて詳しく紹介されているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

最後に、どんな企業にも付きものの「クレーム」についてUAの幹部が語っている記述を紹介しておきます。

究極のクレーム対処法なんて、そんなもの絶対にありません。基本的には、とにかく集中して、自分がお客様の立場だったら、どのように対応してほしいか、それだけを考え抜くことです。
  (中略)
“苦労は買ってでもしろ”といいますが、(クレームも)同じこと。
クレーム対応は買ってでもしろ、です。それしかないです。
  (中略)
やっぱり自分が痛い目にあって、どん底まで考えて、歯がゆいというか、悔しいというか、お客様と同じ気持ちにならないとクレームってわからない。
クレームはお客様を知る本当にいいチャンスなのであり、だからこそクレームに直面したときは、全身全霊で受け止めてほしいのです