読んだ本について僕の語ること

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「経営」って意外とシンプル? - 稲盛和夫の経営塾 Q&A高収益企業のつくり方 (日経ビジネス人文庫)稲盛 和夫

稲盛和夫の経営塾 Q&A高収益企業のつくり方 (日経ビジネス人文庫)

京セラや第二電電(現・KDDI)を創業し、最近ではJALの再建でも名を馳せた稲盛さんが、企業の収益性を高める方法について語っている本です。

本の中身は、若手経営者からの様々な悩み相談に対し、稲盛さんがアドバイスする形で構成されています。どのアドバイスも稲盛さんの実体験に基づいて語られているので、とても分かりやすく、かつ興味深く読める一冊です。

アドバイスの内容も組織体制、価格設定、新規事業M&A、経理、給与体系、人材教育…
と幅広く、興味のある所だけ読んでも十分役に立ちます。
その中で、印象に残った話を挙げてみます。

まず、第4章「自ら燃える集団をつくる」の「経営者意識を持った人材を育てる」という項目から。会社はトップや一部の幹部だけでなく、末端の社員も経営者と同じように「会社を成長させたい」という気持ちを持って初めて成長するものですが、そのために必要な心構えについて、稲盛さんは次のように語っています。

普通の会社では、上意下達により一方的に仕事を命じるというのが、通常かも知れません。
しかし、「上司に言われたからやる」という考え方では、本当にやりがいを持って、積極的な仕事ができるとは思えません。一方、上司が部下に、「自分たちの目標を達成するにはどうすればいいか、知恵を貸して欲しい。共に会社発展のため尽そうではないか」という態度で接し、日頃から従業員が経営に関心を持ち、経営に参加するよう教育していればどうでしょうか。部下は「自分も頼りにされているのだから、目標達成のために自分の役割を果たさなければならない」と意気に感じるに違いありません。
自分の仕事に対して積極的に提案するようになり、責任感を持って働いてくれるはずです。

また、「全員が経営に参加する」といっても、誰もが理解できる指針や原則のような
ものが必要です。そのことについて語っている部分を引用しておきます。

創業当時は経営について何の知識もなく、損益計算書も貸借対照表も読めませんでした。
そこで、経理部長に何度も質問しながら、少しでも会計について理解しようと努めていました。

そのやりとりの中で、「売上を最大にし、経費を最小にする」ことが経営の原点であることに気づいたのです。

それ以来、私は「売上から経費を引いたら、残りが利益なのだから、売上を伸ばし、費用をできるだけ使わないようにすれば、その差額である利益が最大になる」という原理原則に基づき、会社を経営してきました。

 

稲盛さんほどの人だから、さぞ難しいことを考えていると思いきや、ビックリするくらいシンプルな話ですね。

最後に、稲盛さんの「人材」への考え方が垣間見える記述があるので、ご紹介しておきます。

昔から「人は石垣、人は城」と言います。企業を城に見立てれば、従業員は石垣です。
石垣の中には、大きい石もありますし、小さい石もあります。頑丈な石垣には、大きい石だけではなくて、その大きな石と石の間に必ず小さな石がたくさんはめ込まれていて、この小さな石が、石垣全体を強固にする働きをしているのです。

 

稲盛和夫の経営塾 Q&A高収益企業のつくり方 (日経ビジネス人文庫)