具体的なプロセスが詳細に書かれている - 新版 戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書)本田 哲也
著者はブルーカレント・ジャパンという、マーケティングPRを手がける企業の代表で、日本で“PR”をマーケティングに取り入れた先駆者的な人です(だそうです)。
サブタイトルの「空気をつくる。世論で売る。」という言葉通り、広告による商品の訴求ではなく、その商品が売れるための“空気”を世の中に広めるためのノウハウが詰まった本です。
例えば、ニュースなどで新型インフルエンザやPM2.5が話題になると、宣伝なんかしなくてもマスクが飛ぶように売れますよね。
これって世の中全体に「マスクを付けなきゃ!」という“空気”が広がるからですよね。
この“空気”そのものを意図的に生み出してやろう、というのが「戦略PR」の考え方です。
ちなみに、本の中ではこの“空気”のことを「カジュアル世論」と命名していますが、カジュアル世論を効果的に生み出すために必要な要素を3つ挙げています。
(1)おおやけ…公共性
(2)ばったり…偶然性
(3)お墨付き…信頼性
詳しい説明は省くとして、この3要素をちゃんと押さえて戦略PRを成功させた事例として紹介されているのが、永谷園の「冷え知らずさんの生姜シリーズ」です。
マスコミ報道から徐々に「生姜」への注目を高め、女子大生を巻き込んで口コミを誘発させるなど、あの手この手のPR活動で商品は大ヒットしました。
(もう5~6年前の話ですが…)
その具体的なプロセスがかなり詳細に書かれているので、その部分だけを読んでも十分に楽しめます。
最後に、普段から何げなく使っている「PR」という言葉ですが、
正しい意味を説明した部分があるので引用しておきます。
(P78「そもそもPRって?」より)
PRとは、本来はパブリック・リレーションズ(Public Relations)の略。
直訳すれば、「公的な(=Public)関係性(=Relations)」という意味だ。
仮に企業だったら、消費者はもちろん、株主や取引先企業、従業員、メディアや
専門家といった利害関係者たちと良い関係を築き、それを維持するということになる。
(中略)
要は、「自分の良さを宣伝する」だけでなく、「周囲との関係をいい感じにする」ことで、
企業や組織がその目的を達成していく。PRとはそんな考え方なのだ。
新版 戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書)
- 作者: 本田哲也
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2011/02/10
- メディア: 新書
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